新しく研究室に配属された研究生にたいして専攻科生が,
電気駆動化ボートと調査実習船はまかぜ搭載の多点同時潮流測定器CI-80
古野電気製の説明を行った.
野外調査地点は,漁船をはじめとる船舶の航行に支障が無い事と,発電した電気エネルギーを電力系統へ連系できる送電路に近接していることが必要である。我が国では1983年から1988年まで日本大学のグループが来島海峡において潮流発電を行い,世界で初めて潮流発電に成功した。日本大学の潮流発電装置は海底設置型ダリウス型水車を用いたもので,3枚の翼はカーボンFRPを用いて作成され,軽量化されている。水車の下に増速比1:9の増速機があり,その下に3相同期発電機が置かれた。日本でも数々の実験は行われているものの,いずれも実用化には至っておらず,また5m/s程度の潮流で費用対効果を得ることができる水車はいまだ未開発である。
小型船舶の電気駆動化の考え方は,すべてのエネルギー消費システムに新エネルギーの利用促進が求められている。漁船等小型船舶における新エネルギーの利用を検討する事にした。 我々は,小型電気駆動実験船を使って小型船舶の航行時の負荷パターンを計測するに事より,実用化を前提に電気駆動船の設計を行った。実用化設計における基本的仕様は,小型船舶のユーザー,整備マリーナ技術者,他ボート専門誌などのヒアリング調査を行った結果,6時間の連続航行,最高速度15knot(約28km/h)が求められる事が分かった。これを試設計の諸元としている。